地質時代で見ると、ティラノサウルスが地上にいた期間は比較的短いものでした。それでもティラノサウルスは「恐竜の王者」として圧倒的な知名度を誇ります。強大な顎の力は有名ですが、大きな特徴はもう一つあります。極端に短い前足です。本記事では、ティラノサウルスの知られざる事実を解説します。
ティラノサウルスの前足は必要?
ティラノサウルスの特徴の一つが、体の大きさに比べて極端に短い前足です。「あんなに短くて意味があるのか」と思う方も多いでしょう。
結論から言えば、前足にも役割があったと考えられています。有力な説の一つが「立ち上がる際の補助」です。前足の可動範囲は非常に小さいものの、腕を地面と水平に動かすことはできました。そのため、地面に伏せた姿勢から起き上がるときに、前足で地面を押して体を支えたという説が提唱されています。
「体のバランスを取るため」という考え方もありますが、そのためだけなら前足を退化させる必要はなく、尾を太くすれば済むはずです。バランス説はあまり支持されていません。
実は走るのは遅い!?
映画『ジュラシック・パーク』では、車を追いかけるティラノサウルスの姿が印象的でした。しかし近年の研究では、ティラノサウルスはそれほど速く走れなかったと考えられています。
生体力学のシミュレーション研究では、走行速度は時速20〜30km程度、歩行時は時速5km前後だったと推定されています。骨格の強度から見ても、全力疾走は難しかったようです。
単独では獲物に追いつくのが難しかったため、親子や群れで協力して狩りをしたのではないかという説もあります。若い個体は体が軽く、大人より速く走れたと考えられており、その速さを活かした生活をしていた可能性があります。
恐竜二番手説
長年、ティラノサウルスは「最強の恐竜」とされてきました。しかし近年は「本当に最強だったのか」と疑問視する声もあります。
候補として名前が挙がるのが、2022年に発表された南米の大型肉食恐竜マイプ・マクロソラックスです。ただし、マイプはメガラプトル類という別のグループに属し、時代も地域もティラノサウルスとは異なります。直接対決した可能性はなく、「どちらが強いか」はあくまで想像の世界の話です。
マイプについては、こちらの記事でも解説しています。↓
トリケラトプスの食べ方!?
ティラノサウルスのライバルとして有名なトリケラトプス。そのトリケラトプスには、ティラノサウルスなりの「食べ方」があった可能性が指摘されています。
トリケラトプスのフリル(首の骨質の盾)には、ティラノサウルスの歯痕が残った化石が見つかっています。研究者が提案する食べ方の順序は次の通りです。
1首のフリルを噛む。
2フリルを引っ張り、首の筋肉を引き出す。
3首の筋肉を食べる。
歯痕の位置と向きから復元された仮説であり、まだ確定した話ではありません。とはいえ、化石の傷から「食べ方」まで読み取れるのは、古生物学の面白いところです。

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