ジュラシックパークから登場した、ヘンリー・ウー博士。
それぞれの映画でどのような特徴を持って登場したのか。それを解説していきます。(この記事にはネタバレが含まれております。)
ウー博士とは何者か?
ヘンリー・ウー博士は、ジュラシック・シリーズを通して登場する遺伝子工学の天才。彼は、インジェン社の一員として、恐竜のクローン技術を確立した中心人物であり、現代に恐竜を蘇らせた張本人です。表向きは科学者ですが、その裏には倫理や自然の摂理を超えた危険な信念が見え隠れします。
原作小説でも登場する人物ですが、映画では彼の登場と役割が作品ごとに大きく変化していきます。
『ジュラシック・パーク』での登場と役割

1993年公開の第1作『ジュラシック・パーク』で、ウー博士は若き科学者として登場。パークの開発段階において、恐竜の遺伝子を復元し、生き返らせることに成功した立役者の一人です。
この時点での彼は、まだ「理想に燃えた研究者」であり、遺伝子操作の可能性に目を輝かせています。映画内では登場シーンこそ少ないものの、恐竜が全てメスであると説明する場面など、非常に重要な立ち位置にいます。
『ジュラシック・ワールド』:再び動き出す野望

2015年の『ジュラシック・ワールド』で、ウー博士は完全に別の人物として描かれます。年齢を重ね、科学者というよりも「兵器開発にも関与する実業家風の科学者」に変貌。
特に、遺伝子操作によってインドミナス・レックスを生み出した張本人として描かれ、倫理観のなさが浮き彫りになります。さらに、彼は恐竜を兵器として利用しようとする軍事勢力と手を組んでおり、純粋な科学者という立場から逸脱してしまっています。
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』:科学者か企業の駒か

2018年の『炎の王国』では、ウー博士は依然として兵器恐竜の開発を続けています。今回はインドラプトルという新たな恐竜を開発し、さらなる改良型を作ることを画策します。
しかし、彼の姿勢には少しずつ迷いが見え始めます。特にクローン少女メイジーの存在や、生き物を道具として扱う企業の暴走を目の当たりにし、かつて持っていた理想と現実のギャップに悩み始めているようにも見えます。
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』:罪と向き合う時
2022年公開の最終章『新たなる支配者』では、ウー博士の描かれ方が大きく変わります。彼はもはや「全ての元凶」としての重責を背負っており、自身の過ちを認めるようになります。
劇中では、バイオシン社で生物兵器化された巨大バッタ(バイオローカスト)を生み出した張本人として再登場。だが最終的には、それを止めるために力を尽くす「贖罪の科学者」として描かれ、シリーズの中で数少ない真の成長を遂げたキャラクターとも言えるでしょう。
シリーズを通して見えるウー博士の変化
- 初期:純粋な科学者
- 中期:企業や軍事のために倫理を捨てた開発者
- 後期:自分の罪と向き合い、正そうとする人物
ウー博士は、ジュラシック・シリーズを通して、最もリアルな人間的変化を経験するキャラクターです。観客にとって「悪人」と見える瞬間も多いですが、どの時代でも「科学技術の暴走」と「倫理の喪失」がテーマの象徴として描かれてきました。
なぜ彼が「シリーズ最後のキーマン」になったのか
最後の映画で、世界を変える遺伝子技術の鍵を握っていたのが他ならぬウー博士でした。
皮肉にも、「最初に恐竜を蘇らせた科学者」が、「人類を救う遺伝子解決策を生み出した人物」になったのです。
彼の物語は、恐竜よりもむしろ「人間の傲慢と責任」を象徴するものであり、ジュラシック・シリーズの核心でもあります。
まとめ
ウー博士は、単なる脇役ではありません。彼はシリーズ全体の科学技術の象徴であり、野望と過ち、そして贖罪を体現したキャラクターです。
もしあなたが「恐竜が暴れる映画」としてジュラシックシリーズを見ていたなら、次に見るときはぜひ「ウー博士の変化」にも注目してみてください。きっと、作品の印象がガラリと変わるはずです。
<画像引用元>
- ジュラシックパーク・wiki:https://jurassicpark.fandom.com/ja/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%83%BC
- 「ジュラシック・ワールド」公式チャンネル:https://www.youtube.com/watch?v=xeaQGtNGbnY
- 映画.com:https://eiga.com/
- 映画『ジュラシックワールド/新たなる支配者』公式サイト:https://www.jurassicworld.jp/
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