はじめに
テリジノサウルスは、白亜紀後期(約7,000万年前)のモンゴルに生息していた大型の獣脚類恐竜です。
最大の特徴は、その長さ1メートル近くにもなる巨大なカマのような爪。
一見すると肉食恐竜のように見えますが、実は植物食を中心としていたと考えられています。
今回は、この奇妙で魅力的な恐竜の生態や発見の歴史を掘り下げます。
名前の意味と分類
- 学名:Therizinosaurus cheloniformis
- 意味:「カマトカゲ(scythe lizard)」
- 分類:
- 竜盤目
- 獣脚亜目
- テリジノサウルス科
名前の由来は、やはりその長大な爪にあります。
最初に発見された時、その爪は甲殻類を捕まえるものと誤解され、学名の種小名 cheloniformis(カメのような形)が付けられました。
発見の歴史
テリジノサウルスは1948年、モンゴルのネメグト層で発見されました。
当初は爪の一部しか見つからなかったため、その正体は長らく謎に包まれていました。
1970年代以降、同科の他の恐竜(アラシャサウルス、セグノサウルスなど)が見つかり、全体像が明らかになっていきました。
特徴
- 巨大なカマの爪
長さ最大約1メートルの爪は、獣脚類の中でも異常に長い。
植物の枝を引き寄せたり、捕食者から身を守るために使ったと考えられています。 - 草食寄りの食性
クチバシ状の口、葉をすりつぶす歯、そして大きな腹部。
肉食恐竜の仲間ながら、草食に適応していた珍しい存在です。 - 長い首と二足歩行
長い首で高い場所の植物も食べられたと推測されます。
生態と行動
テリジノサウルスは比較的穏やかな性格だったと考えられていますが、その巨体と爪は大きな防御手段でもありました。
天敵はタルボサウルスのような大型肉食恐竜。
巣を守るために爪を振りかざし、肉食恐竜に対抗した可能性があります。
大衆文化での登場
近年では、映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』にも登場し、その爪と独特な姿が多くの観客に強烈な印象を残しました。
映画ではかなり獰猛に描かれていましたが、実際のテリジノサウルスは草食性であったと考えられています。
まとめ
テリジノサウルスは、獣脚類の中でも特異な進化を遂げた恐竜です。
恐竜研究の歴史の中で、その爪の謎は数十年かけて解き明かされてきました。
現代でも完全な骨格は発見されておらず、さらなる発見が期待されています。
🦖豆知識:テリジノサウルスは英語圏でも “Freddy Krueger of the dinosaur world(恐竜界のフレディ・クルーガー)” と呼ばれることがあります。
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